エレフセリアのレビュー

物語イラスト+音楽CDの作品

フルカラーイラストのリーフレットと音楽CDの組み合わせによる作品。言葉による説明を排して、イラストと音楽だけで一つの物語を演出している。このシカケはおもしろい。

音楽はオーケストラの音色とシンセサイザーをミックスした、映画音楽的なつくりである。オーケストラ的なアレンジも手慣れており、電子音系・アコースティック音色の組み合わせもうまい。技術的に手堅く、安心して聴くことができる。

しかし付帯音楽として作られているせいか、やや全体的な印象は薄いかもしれない。印象に残るテーマ・フレーズを中心に展開する形にすれば良かったかも。同様に、演出されている物語がやや薄味なのも弱点だろう。典型的なラノベ的な設定で定型以上のものがあまり感じられないので、やはり印象が薄い。今後そういうシナリオが絡んだならば、優れた作品がきっと出来上がることだろう。

クライマックスにはいずみあや氏が歌う、アルバム中唯一のボーカル曲があてられている。曲調はやや抑えめ、という感じで、少しもったいないような気もした。