君の美術館インタビュー

同::乾杯!
君::乾杯!
同:本日はお越し頂きありがとうございます。
同:さっそく質問に移りたいと思います。

今回は"monologue"シリーズなどのオリジナルや、東方を始めとするアレンジの"dialogue"シリーズなどを制作し大活躍している、君の美術館の支配人「fanfan.」さんをお呼びしました。
君の美術館
乾杯!ということで、
―――本日はお越し頂きありがとうございます。
―――まずサークルの紹介をお願いします。

君:「何でもやります君の美術館」
何でもアグレッシブに挑戦する事を目標に掲げて・・・でもなかなか思うように行きませんよね(笑)あとは基本的に生演奏でどこまで出来るかというサークルです。

―――サークル名の由来は?

君:元々バンドマンをやってまして、今CDが売れない世の中じゃないですか?子供の頃、親の趣味が高じてしっかりしたオーディオ環境があって、そのせいもありCDはCDプレーヤーで聞いて欲しいなって。あとは、大人になったら絵本とかあまり読まないですよね?でも今読み返しても感動ってするんですよ、子供の頃感じた感動とは違うんですけどね。少し懐古的ですけど、芸術から得る感動を取り戻したいなって。そんな想いを込めて「君にとっての美術館になりますように」というコンセプトです。

君:英語表記で「kimino-museum」と書くんですが、「your-museum」としなかったのは、「君の為の」美術館という意味があるからなんです。

君:英語表記のサークルさんが多いじゃないですか?日本人だし日本語のサークル名が良いかなというのもありました。あと君の美術館と言われても何か分からないじゃないですか?それが面白いかなって。君の美術館で検索すると"なんとか君の美術館"が出るんですよ。そういうのも良いかなって(笑)

サークルメンバー黒岩さん
サークルメンバーの黒岩さん
―――構成メンバーは?

君:ギターが3人、ベースが僕で、ドラム、ピアノが居ます。ギターの内の1人がアコーディオンとか鍵盤とか色々弾いてますね。あとは男性ボーカルが1人で、女性ボーカルも2人居ます。あ、あと変なのが1人とWEB担当が居ますね。

―――作曲の方は?

君:PHEVOTTさんという方で、ギターとピアノとアコーディオン、シンセなどオールラウンドに弾いてくれる方です。

―――サークルを作ろうとした経緯は?

君:初めにも言いましたが元々がバンドマンで、バンドマンなりの岐路があり、契約的な話で、聴いて育った音楽ではあるのですがあまり魅力を感じなくなってしまったんですね。本当にやりたい事が出来なくなるっていうのもあって、それが嫌だなぁと。自分のやりたいことが自由にやれる場所を探していたんですね。バンド活動だとやりたい事とは別に、流行とか大衆を意識してやらなくてはというのもあって。そういうのではなく、もっと自由に認めて貰える場がないのかなと思って同人音楽という世界に惹かれ始めました。

君:ゲーム音楽を聴いて育ったメンバーが多くて、ゲーム音楽があったからこそ今の自分・活動があるというのもあって。その延長で自分たちなりのオリジナリティを出せたら良いなと思い、アレンジもやりつつ、オリジナルもやっていこうという感じですね。

―――そういう点では同人音楽は自分のやりたい音楽ができると思いますか?

君:今現在は自分のやりたい音楽が出来ているので、そういう意味では出来ると思います。純粋にやっていて楽しいですね。元々同人時代のSound Horizonさんとか、同人音楽を聴いていたのでそういう影響もあるかと思います。

―――サークルメンバーはバンドメンバーがやっている感じですか?

君:元々のバンドメンバーの方も居ますし、知り合いのバンドメンバーからお誘いした方などもいますね。

君:その当時、一つだけ拘りがあって「プロに頼まないこと」自分の周りにプロが多かったので、プロに頼んで、つまりお金で解決してしまう活動が嫌だったんですね。そうではなくて、一から作り上げるのはどれだけ難しいのだろうか。それを経験してみたかったし意義も感じていたので、敢えて全員素人を誘ったんですね。もちろん作曲の方は楽器経験もありますしバンドマンの経験も長い方ですけど、バンド経験も全くない方も居ますし、ライブハウスで歌った事がない、カラオケでしか歌った事がない方もいて、そういう場所からみんなで成長していければ良いなと思って現在に至る感じです。

作品

kimino-theater "Present"
―――kimino-theater "Present"ですが、これの値段設定(100円)、作られた経緯などは?

君:同人音楽は言ってみればセルフプロデュースじゃないですか?メジャーでもインディーズでもプロデュースの方が別に付かれる事が多いと思うのですが、人件費的な物など制作コストが掛かって、CDはこれくらい売れる見込みで、それなら制作費は幾ら掛けられるね、それでこれくらいの収益が見込めるね。というのが面白くないなと思って、せっかく同人音楽でやるなら、同人の世界でしか出来ない事を一通り全部やろうと思ったんですよ。100円CDって一種の「憧れ」の様な物で。別に良いじゃない赤字でも、お金儲けの為にやっている訳じゃないし、やりたい事だけやってバカだなと思って貰えたら嬉しいなと思って。100円で極力痛手にならないような制作を・・・というのもありましたけど(笑)思いっきり赤字過ぎてもきついじゃないですか(笑)赤字は赤字ですけど楽しくやれたら良いなと。結果として、楽しい作品にはなったと思います。

―――中身ですが、黒岩さんのトークが酷い(良い意味で)感じですがどうしてあんな形に?

君:「君の美術館」という劇場で演奏している、CDを聴いている人がコンサートに来ているというコンセプトで作ったんですよ。ナレーションとして"黒岩サトシ"という凄い胡散臭いヤツがいるんですけど、彼が司会進行して、歌った人を呼んでトークをして貰おうと思ったんですけど、よくよく考えてみると、うちのボーカル陣は面白いことが言えないので「じゃあ俺がやるよ」と黒岩が言って、とりあえず行けるところまで行ってみようとした結果がアレです(笑) なのでアレはほぼ一発録りですね(笑)一応、こんな感じで話そうかというのは決めていたのですが、その場のノリもかなりあります。

君:今って同人音楽だとゴシックとかメタルとか疾走感のあるものとか、そういう流行りの物を今から僕らがやってもただの真似事にしかならないかなと思って、うちらしいオリジナリティーを考えて行ったときに「笑いか?」と思って(笑)

君:monologueというシリーズは至って真面目にやっているんですけど、あとから聴くと笑えるんですよね。どこをどう聴いてもギャグに聴こえちゃって、うちらが追求しているのは笑いかも?と錯覚的なものを感じで、それを追求したらああいう悲惨なことになりましたね。

―――黒岩さんとは仲が良さそうですね

君:黒岩さんはホント酷い人ですね。生きるセクハラですね。そろそろ訴えられても仕方がないのでそろそろ縁を切ろうかなと(笑)でも、すごく面白い良いヤツですよ。幼なじみなんですよ、彼とは。どれくらいの付き合いかというと、小学校からですね。僕の家の6階上に住んでいるくらいですからね。

palette ~人々が愛した幻想郷~
―――palette ~人々が愛した幻想郷~のパッケージが凄いですが、あれはどうしてあの形に?

君:今回の企画は、歌物もインストもメインで、絵もメインでという、東方Projectの二次創作というよりZUNさんの作品が好きだというような作品にしたくて。音楽のコンピもイラストのコンピもバランスの取れた企画が出来ないかなと思って、どっちもメインになる様に理にかなったパッケージングってどんなのかなと試走錯誤を重ねた結果あのようになった感じですね。

君:パッケージの作り直しを5・6回やったのですが、製作会社さんを大変苦しめたと思いますね(笑)でも、2000円という値段が凄く高いと思うんですよ。ホントは1500円でやりたくて。じゃあ仕様落とせよって話ですけど、でもあの形で出したくて、その葛藤が凄く大きかったですね。

―――制作の工場の映像がありましたが・・・

君:本来あれは見せて貰えないものらしいんですよ。プレス会社さんのご厚意で、これだけ力を入れた企画だから製造過程を見せてあげたいと言われて、じゃあ是非という感じで。他にも色々と見学は行ったんですけど、撮影許可が下りたところだけ映像としてアップしました。

君:その場にいるとホント面白いです。箔押し動画ですが、箔を押す時にもの凄い圧力が掛かって、地面が震動するんですよ。それがホント凄かったですね。それと梱包するとき流れてくるのを見ていたら「あぁなんてバカな作品を作ったんだろう」ってことが頭をよぎりましたね(笑)

サークル活動

―――サークル単独作品で大変だったことは?

君:打ち込みありでデモを作って、メンバー内で貶し合いみたいな感じですかね(笑)ここが良い、ここが悪いというのを言い合って、落としどころを決めて、OKとなったらバンドで音を作っていく感じですね。生演奏に拘っているせいもあって、レコーディングに至る過程が凄く長いんですよ。そこが大変ですね。

君:オリジナルに関しては全部シナリオを書くんですよ。SS的な割とちゃんとした文章になっていて、そこから曲を作っていって、歌詞もそこから書いていく感じです。アレンジが楽というわけではないですが、アレンジに比べて一手間二手間くらいは増えるので更に辛いですね。

―――コンピレーションCDで大変だったことは?

君:企画は僕が動かしていたんですけど、レコーディングやMix、デザイン関連も僕がしていて、それプラスサークルさんとの連絡を取るのも僕だったので、それが大変でしたね。何で分身の術が使えないんだろうと思うような辛さはありました。どこどこのサークルが曲を上げてくれないとかは無くて、むしろ辛かったのは他のサークルさんの曲が良過ぎて、うちが出したくなくなるっていう。このまま行くとズタボロにされるから、アレンジし直そうみたいな、そんな感じでしたね(笑)

君:でも、普段ゲストさんを呼ぶことがなかったので、とても楽しかったですね。

―――呼んだサークルの基準は?

君:個人的に好きなサークルですね(笑)ほとんどの方に断られるかなと思ったんですけど、大体のサークルさんが引き受けて下さって、それが凄く嬉しかったですね。オムニバスディスクの方はジャンルが凄くとっ散らかっているんですけど、それは本当に好きなところを呼んだ結果そうなっちゃった感じですね。アルバムの統一感とかを考えて初めから作っていた訳ではないので、皆さんの曲を聴いて、こういう曲順で並んだら面白いんじゃないかと、みんなでワイワイやりながらCDが作れた感じですね。それに対してうちは負けるわけにはいかないなと(笑)

アレンジ・オリジナル

―――ひさしぶりに5月M3でmonologueシリーズが出ましたが、今後オリジナル作品は?

君:オリジナルが最近出せなかったのは、良いシナリオが上がらなかったり、あとはSound Horizonさん等と比べられてしまうジャンルだと思って、その中で勝てないと思ってしまって。勝ち負けではないと思うんですけど、やっぱり音楽を作る側の人間としてはそれ以上の物を作ってみたい欲がありまして。だけど、超える超えないではなくて自分たちなりのオリジナリティは何なのかというのを追求していきたくて、それの前哨戦みたいなものがkimino-theaterで、その後オリジナルを出そうという度にメンバーの入れ替わりがあったりで馴染むまでに時間が掛かってしまって、オリジナルに着工出来なかった感じです。今年はオリジナルの方を多く制作する予定ですね。

―――その今年出るのは、monologueシリーズですか、別のシリーズですか?

君:M3春でmonologueのお話は一旦お休みにして、夏から新しいシリーズを出していこうという方向で動いています。シナリオも割と出来上がっていて、後は作るだけという形になっています。

―――今後の東方アレンジは?

君:paletteを出してすぐで申し訳ないのですが、もう一個やってみたい大きな企画がありまして。むしろそっちが最初にやりたい企画だったんですけど、それをやるには自分たちの実力不足というのがありまして、その実力不足をこの1年を使って改善していって、来年出せたら良いなと。

君:絶対とは言えませんが、その企画が達成できたら僕主動の東方アレンジ作品はもう終わりで良いんじゃないかなと思っています。そのくらい想いを込めた企画ですね。

―――おぉそれは楽しみです。では、東方アレンジ以外のアレンジは?

君:一昨年秋に伊藤賢治さんのリスペクトCD「dialogue~Romanced Fate~」を出して、去年の秋に第2弾を発表する予定だったんですが出せなかったんですよ。で、どうして出なかったかというと、どうしてもバイオリンを入れたかったんです。けど知り合いにバイオリンがいなかったんですよ。特に聴いて育ってきたのは植松さんだったり、伊藤賢治さんだったりするんですけど、その辺のアレンジを一通り出したいというのはありますね。ファン活動として純粋にやりたいのですが、求める理想が高かったり欲があったりで、どうしても弦楽を入れたくて出せないでいる状況ですね。
dialogue~Romanced Fate~

―――生音の辛い部分はそこですかね?

君:そうですね。ここで質の良い音源を買って、バイオリンを入れる事によって誰にでも出来る活動になってしまうのではないかって。どうせだから皆が真似出来ない活動が出来たら良いかなと思っています。

―――東方Projectの魅力は?

君:元々同人の世界が好きで、FFやビートマニアなどゲームのアレンジを良く聴いていたのですが、その世界で活動していて、更に2次創作を自由にやらせてくれているZUNさんに惹かれて、本当はシューティングが苦手だったんですけど、まず三部作をやってみました。その時は普通にユーザーだったんですけど、東方アレンジが出てくるようになって、僕たちもやってみたいねって。その時はまだサークルも設立してなかったんですけどね。

君:純粋に音楽が好きですね。シューティング自体が苦手なので音楽に聴き入ると良く死にます(笑)やっとノーマルクリアが出来る様になってきました。あとは可愛い幼女が沢山居るのが素敵だと思います!

―――アレンジ曲の選定は?

君:好きな曲ですね。全部が不動な曲ではないので、その時に自分の中で旬な曲、好きな曲をやっていく感じですね。