たたたのレビューしたCD

    Wandering in my life:雨の憂鬱を再現させるピアノ曲集

    最終編集:2019-07-24 07:37:19

    "Wasndering in my Life" タイトルの晴れやかさに似つかわしくないアンニュイなピアノ曲集。ナイーブで繊細な曲とジャケットは、曇り空から間断なく降り注ぐ雨と、それを見上げる人の心象を表して申し分ない。好き嫌いは分かれる部分もあるが、優れたコンセプトアルバムに仕上がっている。

    すべてインストルメンタルではあるが、いまにも誰かの澄んだ歌声が聞こえてきそうなメロディアスで没入感のあるサウンドだ。

     その一方で、ピアノ中心のアルバムとしてはバリエーションにやや乏しい印象も受け、10曲を聴き通すうちにヘッドホンの中からも雨がしたたり落ちてくるような錯覚にとらわれそうな気持ちになった。雨といってもいろいろな雨があり、晴れ間を誘う雨もあり、あるいは快晴に雨天を幻想することもあるだろう。音楽を通じて降雨の世界を広げてほしかったところもある。
     少年の小さな旅を想像させる曲名の付け方も面白く、コンセプトの強さに曲が追いつけていない感じもあった。ピアノの音色を美しく響かせミックスも申し分ない。その単調さ塗り替える工夫もサークル主には容易であろう。

    個人的には8曲目の「出会いと別れの模型館」がフェイバリット。どこか優しく身が切られるような切なさを感じる。ゼロ年代、僕らが愛したエロゲにはこんな夢がぎっしり詰まっていたことを思い出して涙を拭(ry

    コンセプトアルバムが好きな人におすすめ。

    物理的なカタチとしては、CD1枚、ジュエルケース、作者コメントつきライナーノーツ。

    処女作(アナルバージン):丸出しになった悲しきエロ・コミックバンドの問題……作?

    最終編集:2019-06-07 20:08:23

    本格的なビッグバンドソングでありながら、犯罪すれすれでアウトな性癖を吐露しまくるCD。AVレビュー一枚が付属してこのクオリティはすごい。すごいけど、うっかりスピーカーから流したら君のおうちに黄色い救急車が音速で飛んでくるぞ。

    スカを取り入れたTr5もよいし、ロリコンの本気を感じさせるTr6もいい。ビッグバンド、コミソン好きなら買ってそんなしだよ。

    ボカロEDM6:ボーカロイドテクノ\EDMの現在形!

    最終編集:2019-05-29 02:51:58

    アニクラシーン・ボカロクラブシーン衝撃を発し続けるSPACELECTRO (スペースレクトロ)がプロデュース、メインコンポーザーとなって作り上げているボカロEDMシリーズの6作目。

    東方インストEDMシリーズと並び、現在のクラブシーンになくてはならないシリーズだ。強いドロップで押し込まない、ボーカロイド(とくに初音ミクが多い)の特性と文脈を生かしたボーカル曲が多く収録されており、メロディアスで繊細なパンチラインも多い。

    たんなるテンアゲEDMだと思って聞き始めるとあまりのエモさに泣いてしまうこと間違いなしであるい。

    Tr.4.Anywhere IN the Worldのような「初音ミクサウンド」らしい明るく希望にあふれたHOUSEテイストの曲もあれば、Tr.3沈のようにダークで複雑な構成と歌詞(あおまふ)をもつ曲もあって、こちらはもう最後までがっつり意味不明な歌詞で苛んでくれてもいいぐらいのサイケ感が漂っている。とはいえ、悲恋や別れの歌が多いのは、どことなくボーカロイドの悲劇性に対する意識が働くからかもしれない。

    もちろんEDMとしてもがっつり優秀だ。tr6.beautiful lieのようにAメロが聴き応えのあるブレイクになっていて、優しいミクの歌声からサイケっぽいゴリゴリっとしたシンセがぐっとくるのがいい。

    フェイバリットは、Tr8.君を忘れて何処へゆく。
    やなかみゆきのエモーショナルなTropical Houseは明るくて切なくて、夕暮れの南国と処理できない恋人とも友人ともつかぬ誰かとの別れの悲しい研究といった趣がある。ミニマムな、印象深いフレーズが繰り返され、寄せては返す波のように、チリチリっと響く4つ打ちのリズムが心地よい。

    クラブ・フェスサウンドとして注目されがちなアガる楽曲と、エモーショナルなミクサウンドとを高度に融合させているボカロEDMは、Eサード・サマーオブラブの一翼を確実に担うポテンシャルと音楽性を示している。

    ボカロ好きはもちろん、音圧の高いEDMサウンドが苦手な人でも、聞いてほしい一枚に仕上がっている。もちろん大音量でかけて盛り上がるのも最高にいい感じだろう。一方で超盛り上がることを期待してヘッドセットで聞くとクラッシュが弱くてもっとこう、盛り上がるのになーと思うところはある。ただ、これはもうこっちでエフェクト書けて楽しんでしまうのがよい。ちくわさびのミニミク三体と焦り顔ミクのイラストは超可愛いのでこちらも3億点。ジュエルケースCD1枚。歌詞カードはQRコードでPDFをDLする形で付属する。